債務整理

株式投資の追証金・借金からマイホームを守るための個人再生

株式投資の追証金・借金からマイホームを守るための個人再生

資産運用の基本の一つである株式投資ですが、レバレッジをかけた信用取引で株式市場の大幅下落などの不幸な要因が重なると、短期間で額の追証金を証券会社から要求されてしまうことがあります。

全財産を売り払っても支払いきれないような高額の請求を目にして、守るべき家族や、まだローンの残るマイホームをどうしたらよいのか途方に暮れている方もいらっしゃることでしょう。

そんな方にとって、力強い味方となる債務整理手続が、個人再生手続です。

ここでは、個人再生手続で、マイホームや財産を維持しつつ、株式投資の失敗で生じた追証金などを減額する方法や注意点を説明します。

1.個人再生手続の基本

個人再生手続は、支払不能の恐れのある借金の返済義務などの金銭支払い義務、つまり「債務」(債権者から見れば「債権」)の一部を原則3年(最長5年)で返済する「再生計画」について、裁判所に履行可能であると認可してもらい、その返済を終えれば、残る借金が免除される債務整理手続です。

(1)個人再生手続の流れ

①弁護士との相談・契約

弁護士と法律相談をして、個人再生手続の委任契約をします。

借金、財産や家計の資料を持参し、詳細に説明できるようにするとよいでしょう。

②手続の準備

弁護士が債権者に受任通知を発送すると、取立てが止まります。

債権者がしびれを切らして裁判に訴えて出る前に、弁護士費用や裁判費用を積み立てましょう。

また、各種資料、特に財産関連の資料の収集も重要です。

③裁判所への手続の申立て

申立書や添付書類、添付資料を裁判所に提出して手続を申立てします。

裁判所によっては、申立て後すぐに、裁判所を補助する「個人再生委員」と面談したり、再生計画上の返済ができるか確認するため、返済予定額を支払わせる「履行テスト」が開始されたりもします。

④手続開始から終了まで

手続が始まると、裁判所は、債務者の借金や財産、家計の調査をします。

債務者は、再生計画案を作成し、裁判所に提出します。
裁判所は、再生計画が法律上の条件を満たしているか、特に、現実に計画に従った返済ができるという「履行可能性」があるか判断し、再生計画を認可します。

⑤再生計画に基づく支払い

再生計画が認可されると、借金の返済義務は再生計画に従い減額されます。

減額された借金を完済すると、再生計画に盛り込まれていなかった部分の借金の支払いが免除されます。

(2)個人再生手続の費用

個人再生手続にかかる費用には、弁護士費用と裁判費用、裁判所の運用や条件によっては個人再生委員への報酬があります。

裁判費用は数万円程度ですが、弁護士費用の相場は、手続が複雑なため、約40万円から60万円になります。

なお、司法書士に依頼すると、弁護士よりも10万円ほど相場が低くなりますが、トータルで見ると、弁護士に依頼したほうが安くなります。なぜなら、個人再生委員への報酬は、弁護士に依頼したほうが安いからです。

裁判所の運用や場合にもよりますが、弁護士に依頼したほうが個人再生委員への報酬が10~20万円ほど安くなります。

2.株式投資の追証金を個人再生手続で減額するメリット

(1)支払う必要のある追証金を大幅に減額できる可能性がある

自己破産手続のように借金が完全に無くならないとはいえ、個人再生手続でも、借金の減額効果は非常に大きなものです。

再生計画上の返済額を定める基準の一つ、「最低弁済額」によれば、500万円以上1500万円未満の借金は5分の1、3000万円以上5000万円未満の借金ならば10分の1に、返済額を減らすことができます。

(2)裁判所による高額財産の処分がない

自己破産手続では、裁判所により、高額な財産のほとんどが処分されてしまいます。

個人再生手続では、裁判所が財産を処分することはありません
株式投資で資産運用をする余裕があり、かつ、追証金により突如高額の負債を抱えてしまった方は、高額な財産を保有していることが多いでしょうから、財産を維持できることは大きなメリットになります。

(3)債権者による住宅ローンが残るマイホームの処分を回避できる

個人再生手続であっても、担保となっている財産は、担保権を持つ債権者により処分されてしまいます。

もっとも、マイホームだけは、「住宅資金特別条項」という制度を利用できれば、住宅ローンが残っているため抵当権が付いたままでも、住宅ローンの債権者に処分されず、他の借金を減額できます。

(4)金融や保険、警備関連でお勤めの方でも手続中働くことが出来る

自己破産手続では、他人の財産を取り扱う資格で働くことが、手続の間、制限されます。金融や保険関連の資格や警備員などが代表例です。

上記の資格で働いている方は、自己破産手続をしている間は、勤務先の協力を得て、休職か転属をしなければなりません。

個人再生手続には、上記のような資格制限は一切ありません。ですから、自己破産手続の資格制限が問題となる方でも、全く問題なく働きながら手続を進めることが出来ます。

株式投資に積極的な方には、金融業界にお勤めで、仕事で得た知識を資産運用で活用しようとした方もいるでしょう。そのような方にとっては、大きなメリットと言えます。

(5)株式投資により借金をしたことが問題とされない

株式投資による借金があると、自己破産手続が出来ないという噂がネット上には溢れています。

自己破産手続では、「免責不許可事由」と言って、原則として借金が免除されなくなる事情があり、株式投資は、免責不許可事由の代表例である、浪費やギャンブルとされる可能性があるからです。
個人再生手続では、免責不許可事由のような規定はありません。

ですから、株式投資が借金の原因だということを理由に、借金が減額されない可能性が生じることはありません。

なお、現実の自己破産手続では、免責不許可事由があっても、ほとんどの場合は、裁判所の判断で免責されています。

もっとも、免責されないリスクが生じることは間違いありませんから、リスク回避のためにも、個人再生手続は有用でしょう。

3.株式投資の追証金を個人再生手続で減額する際の注意点

個人再生手続は、自己破産手続に比べればリスクやデメリットの少ない手続です。

しかし、裁判所を利用した債務整理手続であることもあり、手続をすることに伴い生じる規制やデメリットは生じます。以下、それらの注意点を説明します。

(1)債権者平等の原則に伴う規制

債権者平等の原則とは、裁判所を利用する債務整理手続では、損害を受ける債権者は公平に扱われるという原則です。この原則があるため、債権者全員を手続の対象としなければなりません。

その結果、奨学金など保証人がいる借金があれば、保証人に残高の一括請求がされますし、また、スマホの通信料滞納や本体代金残額があれば、通信契約解約の恐れが生じます。

また、特に注意が必要なものが、「偏頗弁」です。偏頗弁済とは、支払不能後に、特定の債権者にだけ優先返済することです。

偏頗弁済は、債権者平等の原則に反するため、禁止されています。

職場の同僚や友人からの借金を返済してしまう方が実際に後を絶ちませんが、偏頗弁済をすると、再生計画上の返済額が増加する恐れが生じますので絶対にやめましょう。

(2)マイホームを処分されないようにするには条件がある

住宅ローンがあってもマイホームを債権者に処分されずに済む住宅資金特別条項制度ですが、個人再生手続を申立てれば必ず利用できるわけではありません。以下の条件全てを満たす必要があります。

  1. 住宅ローンで借りた資金を、教育費や生活費など、マイホームに関係のない支出に充てていないこと
  2. マイホームを債務者自身が生活のために使っていること
  3. マイホームに、債務者が負う住宅ローン以外の借金についての担保権がないこと
  4. 住宅ローン延滞により保証会社が代位弁済をした時から、6か月以内に申立てをしたこと

なお、住宅資金特別条項を利用した場合、住宅ローンは一切減額されないことにも注意が必要です。

住宅ローンの支払のせいで、再生計画の履行可能性が認められにくくなることもあります。

(3)ブラックリスト

個人再生を含む債務整理をすると、銀行などが情報共有をしている信用情報機関のリスト、通称ブラックリストに登録されます。登録期間中は、ローンを組むこと、クレジットカードの作成、他人の保証人になることなどが出来ません。

個人再生手続の登録期間は、複数の信用情報機関の間で異なっていますが、長くとも手続開始から10年を過ぎればブラックリストから削除されます。

幼いお子様がいる場合には、お子様の大学入学前にブラックリストから削除されるよう、迅速な手続開始が必要です。

4.株式投資の追証金を個人再生手続で減額するためのハードル

個人再生手続で借金を減額するには様々な条件がありますが、株式投資の追証金を個人再生手続で減額しようとする方にとって大きな問題となるものが、「清算価値」と「債権者の書面決議」です。

(1)清算価値

清算価値は、自己破産をしたとすれば処分される財産相当額です。

ちなみに、偏頗弁済をすると、その金額が清算価値に上乗せされます。清算価値が最低弁済額を上回ったときは、再生計画上の返済額は清算価値の金額になります。

清算価値保証の原則と言って、債権者の利益を保護するために、自己破産の配当以上の返済を債務者に義務付けているのです。

巨額の追証金を、これまで蓄えてきた財産を手元に残しつつ減額したいという場合には、清算価値について真剣な検討をしなければなりません。

清算価値が高額となれば、再生計画上の返済額も高額化し、個人再生手続で不可欠の条件である、再生計画の履行可能性が認められにくくなってしまうからです。

清算価値の計算方法は各地の裁判所により異なりますが、主な財産について、簡単な説明をしましょう。

①現金

手持ち現金から99万円が引かれた金額が、清算価値となります。

②預貯金

ほとんどの裁判所では、残高全額が清算価値とされます。

③保険の解約返戻金

債務者名義、または、他人名義でも債務者が保険料を支払っている保険に解約返戻金があれば、清算価値に計上されます。

お子様がいる方ですと、学資保険が、年配の方では、生命保険が特に問題になりがちです。

④退職金

一般的には、現在の退職金見込額の8分の1が清算価値となります。

ただし、若い方ですと清算価値が計上されないことがあり、一方、定年退職間近の方では、4分の1が計上されるなど、諸事情により扱いが変わることにご注意ください。

⑤マイホーム

マイホームの清算価値は、マイホームの査定額から住宅ローン残高を差し引いた金額となります。

住宅ローンが多く残る若い方では、マイホームの清算価値はゼロとなることも珍しくありません。
一方、マイホームの査定額が高額である方や、長年ローンを支払ってきた年配の方では、マイホームの清算価値が大きな負担になる恐れがあります。

(2)債権者の書面決議

①小規模個人再生で追証金を減額することに伴う手続失敗リスク

個人再生手続には二つの手続の種類があるのですが、そのうち、一般的に利用される「小規模個人再生」には、「債権者の書面決議」制度があります。

再生計画について債権者が書面で多数決を行い、債権者の頭数の半数以上、もしくは、債権総額の半分を超える反対があると、手続が打ち切られてしまうのです。

株式投資の追証金を個人再生手続の小規模個人再生を利用して減額しようとした場合、書面決議による打ち切りのリスクを無視できません。

株式投資の追証金は、証券会社のみから高額の請求がされるものですから、証券会社の意向次第で、簡単に否決されてしまう恐れが高いからです。

②給与所得者等再生で書面決議を回避する際の注意点

もう一つの個人再生手続の種類である「給与所得者等再生」では、書面決議制度がありません。ですから、証券会社の反対を恐れることなく、追証金を減額することが出来ます。

ただし、給与所得者等再生には小規模個人再生にはないデメリットがあります。

特に、収入が安定していなければ手続の利用が認められないことと、返済額の増加リスクがあることに注意が必要です。

この2点を以下で説明します。

収入が安定していないと給与所得者等再生は利用できない

収入が安定しているとは、収入が定期的に入り、かつ、変動の幅が小さいことを意味します。

専業トレーダーの方はもちろん、自営業の方、さらには証券会社や保険会社の営業など、歩合給の割合が大きい方は、手続が利用できない恐れがあります。

再生計画上の返済額が増える恐れが高い

これまで、再生計画上の返済額の基準として、最低弁済額と清算価値を紹介しました。

給与所得者等再生では、上記二つの基準よりも、「可処分所得の2年分」が高額な場合、その金額が再生計画上の返済額になります。
可処分所得とは、収入から税金や政令で定められた生活費を引いたものです。給料が高いほど、また、扶養している家族が少ないほど、可処分所得は大きくなります。

マイホームの清算価値が、ローンが多く残っているために大きくならないで済んで安心していた、まだ若い方にとっては、この可処分所得基準がまさかのどんでん返しになる恐れがあります。

(3)ハードルを乗り越えるには

結局のところ、再生計画上の返済を滞りなく最後まで続けられると裁判所に認められれば良いのです。

そのためには、

  • 家族の援助
  • 取り崩せる財産の取り崩し
  • 定年後の方の場合には、年金収入を補うためのアルバイト

などの補助策を、無理のない範囲で考えましょう。

5.株式投資の追証金からマイホームを守るには弁護士に相談を

株式投資は、幅広い年代の様々な方々が、資産運用として活用しています。そのため、市場の突然の混乱は、巨額の追証金の請求となって、あらゆる投資家を襲うことになります。

こんなことになるはずではなかったのにと悔やむお気持ちはよくわかります。しかし今、目の前に新たに生じた問題に対して、出来うる限り損害を少なくして対応をすることもまた重要なのです。

個人再生手続は、上手く活用すれば、自己破産手続のデメリットを回避し、バランスの取れた債務整理をすることが出来ます。

ただし、個人再生手続の複雑な仕組みに対応するには、弁護士の手助けが不可欠です。

泉総合法律事務所町田支店では、個人再生により借金問題を解決した実績が多数ございます。町田市、相模原市、横浜線・小田急線沿線にお住まい、お勤めの方は、是非ともお気軽にご相談ください。

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