交通事故

交通事故で外貌醜状|慰謝料・後遺障害等級・賠償請求での注意点

外貌醜状」とは、顔など体の中でも人目につきやすい「外貌」に、交通事故が原因で残ってしまった傷跡のことです。

後遺障害等級認定手続で後遺障害の等級に該当すると認定を受けることで、治療費などとは別に慰謝料などの損害賠償金を請求できるようになります。

もっとも、その基準は「相当程度の醜状」などとてもあいまいなものです。具体的な基準は傷跡の部位や程度、内容に応じて決められています。

適切な後遺障害等級認定を受けられたとしても、損害賠償請求をするうえではいくつかの注意点があります。

ここでは、外貌醜状の後遺障害損害賠償金などの目安や、その目安に影響を与える後遺障害等級の詳細、そして損害賠償請求の際の注意点についてわかりやすく説明します。

1.外貌醜状の後遺障害損害賠償金

身体のうち外部に露出している顔や手足などのなかでも、顔や頭、首などを「外貌」と呼びます。
外貌は生活する中でも特に他人の目にさらされますから、人目につく傷跡(「醜状」)が残ると精神的負担や減収が生じかねないため、醜状障害の中でも特に重い等級が定められています。

等級は、症状の重さなどに応じて後遺障害をランク付けしたものです。
等級に応じて損害賠償金額の目安などが定まっています。

以下に、等級と認定基準、損害賠償金などの目安を表にしました。

等級 認定基準 慰謝料
(自賠責基準)
慰謝料
(弁護士基準)
労働能力喪失率の目安
7級 外貌に著しい醜状を残すもの 419万円 1000万円 56%
9級 外貌に相当程度の醜状を残すもの 249万円 690万円 35%
12級 外貌に醜状を残すもの 94万円 290万円 14%

なお、2020年4月1日より前に発生した事故では、多少金額が変わることがあります。

(1) 後遺障害慰謝料

外貌醜状の精神的苦痛への賠償金後遺障害慰謝料です。
その金額の目安が、等級に応じて定められています。

等級だけではなく、相場・基準にも注意が必要です。

自賠責保険基準、任意保険会社基準、弁護士基準(裁判基準)の3つの基準があり、弁護士基準が最も高額となっています。任意保険会社基準は保険会社により異なり、また制度上最低限の保障基準である自賠責基準とさほど変わらないことすらあります。

任意保険会社から支払われる後遺障害慰謝料を示談交渉で増やすには、弁護士への依頼が大切です。

弁護士に依頼すれば任意保険会社は裁判のリスクを考え、提示額を増額することが多くなります。

(2) 逸失利益

外貌醜状で問題になりやすい損害賠償金が逸失利益です。

逸失利益とは、後遺障害の悪影響により減ってしまう将来の収入を補うための損害賠償金です。

等級表では、逸失利益の計算項目のひとつ、「労働能力喪失率」の目安が定められています。

「労働能力喪失率」とは、お金を稼ぐ能力である「労働能力」が損なわれる割合です。

逸失利益は被害者様の個別具体的な事情により大きく変化しやすい損害賠償金です。労働能力喪失率はもとより、年収や将来働き続けるであろう期間(労働能力喪失期間)、さらに、仕事内容や職歴など、収入に関する様々な要素を総合的に勘案する必要があるからです。

よって、等級では金額それ自体の目安は定められません。
その代わり、症状の重さに比例しやすい労働能力喪失率の目安が等級に応じて定められているわけです。

(3) 等級と認定基準

「どのような傷跡がどの等級に当たるのか」の認定基準は基本的には労働者災害補償保険(労災保険)制度に定めがあり、後遺障害等級認定手続は労災保険制度を参考にしています。

もっとも、その基準はあいまいなことが多く、外貌醜状も「著しい醜状」が7級、「相当程度の醜状」が9級…としか、記載がありません。

労災保険などではより具体的な基準を公表しています。その詳細について項目を改めて説明しましょう。

なお、労災保険と後遺障害等級認定手続の基準は、わずかですが異なっています。認定の見通しについて被害者様ご自身だけで判断しようとせず、法律相談で弁護士からアドバイスを受けるようにしてください。

2.外貌醜状の症状と等級

外貌醜状を含む醜状障害の等級基準の詳細は、傷跡の場所(部位)、大きさ、内容の組み合わせで決められています。

具体的な基準は以下のとおりです。

等級

認定基準

具体的な基準

7級

外貌に著しい醜状を残すもの

・頭部の、てのひら大以上の瘢痕 または

・頭蓋骨の、てのひら大以上の欠損

・顔面部の鶏卵大面以上の瘢痕 または

・顔面部の10円銅貨大以上の組織陥没

頸部の、てのひら大以上の瘢痕

9級

外貌に相当程度の醜状を残すもの

顔面部の、長さ5センチメートル以上の線状痕

12級

外貌に醜状を残すもの

・頭部の、鶏卵大面以上の瘢痕 または

・頭蓋骨の、鶏卵大面以上の欠損

・顔面部の10円銅貨大以上の瘢痕 または

・顔面部の長さ3センチメートル以上の線状痕

頸部の、鶏卵大面以上の瘢痕

顔は社会生活を送るうえで最も人目につきやすいものですから、等級が高くなりがちです。

どの部分でも、傷跡が大きくなれば人目につきやすくなりますから症状が重いと判断されやすくなります。

傷跡の中でも、瘢痕や欠損などは幅を持っていますので、やはり目立ちやすいとして高い等級に認定される傾向が見て取れます。

さて、上記の基準でも「てのひら大」「鶏卵大面」辺りはあいまいさが残ります。

他にも、「傷跡のうち眉毛などで隠れている部分は考慮しない」「隣り合う傷跡を合わせて考慮できることがある」など細かいルールもあります。

そもそも、外貌醜状が後遺障害として認められる理由は、傷跡が人目について社会生活を送るうえで精神的・経済的負担が生じるからです。
となると、実際に傷跡を目で見てみなければ、症状の重さを正確に理解しづらいでしょう。

そのため、外貌醜状の後遺障害等級認定手続では、例外的に面接審査が採用されています。

3.外貌醜状の注意点

逸失利益は一般に保険会社と争われやすい損害賠償項目ですが、身体の動作などに直接悪影響を与えない外貌醜状ではさらに増して大きな問題となります。

(1) 逸失利益が認められにくい

外貌醜状が後遺障害等級認定されても、逸失利益はさほど認められないか、場合によっては一切認められないおそれすらあります。

逸失利益は、労働能力が失われたために生じる将来の減収を埋めるための損害賠償金ですから、被害者様の労働能力が後遺障害のせいで実際に損なわれたと言えなければ請求できません。

外貌醜状は後遺障害の中でも労働能力が喪失したと直接言いづらいものの一つです。
肉体労働にせよ事務職にせよ、キズ自体が治っていれば、一般には働くうえで問題が生じにくいからです。

家事への支障も労働能力喪失率を考えるうえで検討されますが、家事も同様に外貌醜状による不都合が生じたとは言いづらいでしょう。

一応、仕事内容や社会的地位次第では、外貌醜状が労働能力を直接低下させることもあります。
モデルは容姿を仕事に活用していますし、飛び込み営業マンでも訪問先からの反応を考えれば外貌醜状は仕事をするうえで大問題です。

また、被害者様が学生で就職活動中、社会人になっていても転職活動中などと言った事情があれば、採用面接に支障が生じることは常識的に考えて否定できないでしょう。

しかし、上記はあくまで例外です。
ほとんどの場合、労働能力喪失率は等級表に記載された目安よりも大きく減ってしまいます。それどころか「労働能力の低下はまったく無い」として、逸失利益を一円も請求できないおそれも大きいのです。

労働能力の低下が認められたとしても、「しばらくすれば仕事への悪影響は無くなる」として労働能力喪失期間が短くされてしまうこともあります。

外貌醜状では特別な事情がない限り、逸失利益を満足に請求しづらいのです。

ここでポイントとなるのは後遺障害慰謝料です。
後遺障害慰謝料は後遺障害による精神的苦痛の損害賠償金です。仕事や家事以外の日常生活の中で、外貌醜状による精神的苦痛は明らかに生じます。

そのため、外貌醜状の後遺障害慰謝料の支払いの有無や金額について大きな争いにはなりにくいものです。

後遺障害慰謝料は、弁護士に依頼することで大きく増額できる可能性が高いことも忘れてはいけません。
逸失利益について等級表どおりの請求が難しい外貌醜状については、弁護士に依頼して後遺障害慰謝料を増額する意義が大きいのです。

(2) 面接で傷跡を見せる

外貌醜状がどのようなものかは、面接で確認されます。
面接官の主観が紛れ込んでしまうなどのおそれがありますので事前に傷跡の内容について被害者様ご自身で説明できるよう、準備をしておきましょう。

後遺障害等級認定手続は、大原則として「書面審査」により行われています。
書面審査とは、判断根拠を提出された必要書類・資料のみに限る審査方式です。この場合、審査機関は医学的な診察や検査などをまったく行いません。

ところが、外貌醜状の後遺障害等級認定については、面接での審査手続もあるのです。

基準はある程度客観的になっていますが、細かなルールがあり、なにより面接官の主観的な判断・思い込みが入り込んでしまうおそれがありますから、事前に弁護士に相談して助言を受けておきましょう。

4.まとめ

外貌醜状の後遺障害等級認定手続、損害賠償金請求では、専門的な知識と経験が要求される問題が多くあります。

  • 後遺障害の損害賠償金のひとつ、逸失利益について争われやすい
  • 事故が原因であるという証拠を残さなければならない
  • 一般的な後遺障害と異なり面接がある など

弁護士に相談して認定の見通しを立て、依頼することで後遺障害慰謝料の増額や逸失利益の減額防止を図りましょう。

外貌醜状でお悩みの交通事故被害者の方も、交通事故の実績豊富な泉総合法律事務所の弁護士にぜひ一度ご相談ください。

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