交通事故

高次脳機能障害、いつ・どんなMRI検査を受けるべき?

交通事故による高次脳機能障害となってしまったとき、後遺障害等級認定を受け後遺症の損害賠償請求をするためには、検査時期などの状況に応じた適切な「MRI検査」をすることが大切になります。

高次脳機能障害の原因が交通事故とであることの証拠として、脳に外傷性異常があると明らかにするMRI検査結果は大きな価値を持ちます。

しかし、実際のところ、症状があるにもかかわらず画像検査結果で異常が見つからないということは珍しくありません。

MRI検査で異常を発見できる確率を上げるためには、まずは迅速に検査を受けること。そして、いくつもの種類があるMRI検査の中から、被害者様の病状や時期など具体的な状況に合致した検査を選び出すことが重要です。

今回は、医師にMRI検査を依頼する際の前提知識として、検査時期や病状ごとのMRI検査の特徴を解説します。

1.事故直後の場合

事故直後は損傷が発生したばかりの時期で、最も異常を発見しやすくなっています。
よって、ほとんどの種類のMRI検査を事故直後にしておくことが大切です。

その中でも、DWIと呼ばれるMRI検査は、事故直後に行っておく必要性が特に高いものです。

DWIでは、交通事故など外部からの衝撃による脳の細かい傷や脳出血を確認できます。多くのMRI検査の中でもその精度は特に高いものです。

高次脳機能障害を引き起こす脳損傷の中でも、事故直後に見つかりやすいのが「脳挫傷」です。

脳挫傷は脳が頭蓋骨にぶつかるなどして脳の表面に傷がついてしまうものです。脳表面は高次脳機能をつかさどる神経が集中する「皮質」となっており、わずかなキズでも高次脳機能障害はを引き起こすリスクがあります。

一方、脳神経が事故の衝撃でねじ切れてしまう「びまん性軸索(じくさく)損傷」は事故直後に異常が見つからないことがあります。軸索と呼ばれる脳の神経線維は、画像検査で直接確認できないからです。

それでも、毛細血管も神経同様に切れ、わずかに脳内出血が生じることがあります。見つけにくいですが、画像検査でその出血を捉えられれば、びまん性軸索損傷の証拠となりえます。

見逃してしまいかねない脳の異常を検査画像に映し出すことができれば、高次脳機能障害が交通事故による害的損傷で引き起こされたことを証明しやすくなります。

【できれば他の検査も併せて行う】
DWIは、本当に早い段階でなければ異常を見つけにくくなるという短所もあります。
医師は高次脳機能障害に気付きにくく、大掛かりなMRI検査をせずともCT検査で充分だろうと考えがちです。DWIを受けるまでに時間がかかってしまうことがあるかもしれません。
事故後何日までならDWIで異常を見つけ出せるかについて、ここで具体的なことを記載することは困難です。被害者様のケガの内容次第だからです。
症状に気付き医師に検査を依頼した際には、これから説明する他の種類のMRI検査も複数してもらいましょう。
「T2」と呼ばれる検査とその仲間がポイントです。手間はかかりますが、異なる特長をもつ複数の種類のMRI検査を合わせて実施することで、異常が発見される可能性はより高くなります。

2.事故から少し経過後

事故から時間が経過するほど、脳の細かい傷や脳内出血は検出しにくくなってしまいます。
それでも、適切なMRI検査を組み合わせることで脳の異常を明らかにできる可能性は高くなるものです。

事故直後に検査できなかったと言ってあきらめずに、少しでも早く検査をするようにしてください。

(1) FLAIR|脳表面の把握

T2の一種で、脳表面の異常をよく確認することができます。
FLAIRは、脳挫傷による高次脳機能障害で重要な脳表面の皮質のキズを発見するうえで便利なのです。

ただし、事故直後にDWIをしていれば発見できたはずのキズのすべてが、その後のFLAIRによる検査で発見できるとは限りません。

脳挫傷についてDWIで確認するにはもう遅くなってしまったタイミングでも、FLAIRならば異常を検出できる可能性があることは確かです。

(2) T2*|脳内出血の確認

ある程度時間が経ってしまってもわずかな脳内出血を発見できる検査がT2*(スター)です。

事故直後にDWIでびまん性軸索損傷に伴う脳内出血を確認できていれば、症状や事故直後の意識障害など他の事情次第で損害賠償請求が可能となりえますが、やはり事故直後すぐに検査できるかがネックです。

T2*は、DWIよりも遅いタイミングでも脳内出血を検出できる可能性があります。

やはりFLAIR同様に精度の問題がありますが、脳内出血についてはSWIという検査で補えることがあります。

(3) SWI|出血の分析

血の中の鉄分に敏感に反応するMRI検査がSWIです。

MRI検査は磁力や電磁波を利用して、体内の水分や脂肪分、鉄分に働きかけ、その状態の変化を画像にする検査です。

SWIはその中でも鉄分に働きかける特性が大きい検査となります。出血状況を確認する精度は最も優れています。

ただし、脳内出血の原因は、交通事故によるびまん性軸索損傷などだけとは限りません。
SWIは「脳内出血がある」ことを確認するうえでは優秀ですが、「原因が外的損傷である」ということまで確認することは難しいという短所があります。

SWIの子の端緒を補うには、DWI、T2*など、「外的損傷による脳内出血」かどうかまで医学的に証明できる能力がある他のMRI検査を早くから実施しておくことが必要なのです。

3.事故後数か月の間の経過観察

高次脳機能障害の原因が交通事故による脳障害であることをはっきりと証明するためには、事故後もある程度の期間は脳画像検査を続ける必要があります。

特にびまん性軸索(じくさく)損傷の場合、検査を続けることにより、脳委縮(脳自体が縮んで小さくなってしまうこと)または、脳室拡大(脳のスキマ「脳室」が大きくなること)が生じたと画像検査で証明することが、因果関係証明のために大きな役割を果たします。

「T2」はこれまで紹介してきた各種検査よりも細かな精度は劣りますが、キズや出血を全体として確認できるため、オーソドックスなMRI検査となっています。

T2は脳内の水分に働きかける特性が大きく、脳の周囲(脳と頭蓋骨の間)や脳内部の脳室に溜まっている水と脳組織をはっきりと区別できます。
そのため、T2は、脳室や脳の大きさを確認するのに向いているのです。

 

事故で衝撃を受け、千切れてしまった神経は、時間が経過するにつれ消えていきます。消えた神経線維の分だけ脳がしぼみますので、脳委縮や脳室拡大が生じることがあるのです。
その把握には、長期間の検査の継続が不可欠となります。

ただし、脳委縮や脳室拡大が生じたことを証明するには、事故後できる限り早いうちにMRI検査をすることも必要です。

人それぞれ、脳や脳室の大きさは異なります。被害者様ご自身の脳や脳室について、事故後すぐとその後の大きさを比較しなければ、脳委縮や脳室拡大があったと言えるかはわからないのです。

事故直後から、DWI、FLAIRやT2*、そしてSWIなどと並んで、T2も実施し続けてもらうようにしましょう。

4.高次脳機能障害となってしまった交通事故被害者も弁護士へ相談を

高次脳機能障害は症状だけでなく交通事故との因果関係の立証も難しいため、万全の準備をしなければ満足いく損害賠償請求ができるとは限りません。

MRIによる精密画像検査結果は、脳の外的損傷による異常を客観的に明らかにすることで因果関係の証明に役立ちます。

とはいえ、検査をすれば必ず異常が見つかるわけでもない点が高次脳機能障害の大変なところです。

早くから、一定期間、何度かにわたって検査をすることは基本です。
そのうえで、医師との相談の上、状況に応じた適切な種類のMRI検査をしましょう。

MRI検査をするにしても、CTで十分だと考えている医師や、症状を自覚していない被害者様ご本人を説得することは大変かもしれません。 
もし、お困りでしたら、ぜひ弁護士にご相談ください。

泉総合法律事務所は、これまで多数の交通事故被害者の方の損害賠償請求をお手伝いしてまいりました。どうぞ、ご気軽にご来訪ください。

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