交通事故

高次脳機能障害の後遺障害等級認定|必要書類作成のポイント

高次脳機能障害は、被害者様の人生に大きな影を落としかねない重大な後遺障害です。

しかし、その原因や症状の把握、証明は困難を極めます。
そのため、後遺障害等級手続における高次脳機能障害の認定システムも特殊なものとなっています。

診断書の内容などから高次脳機能障害が疑われるもののみが、専門家の審査会によって精査されるのです。医師が作成する診断書の内容は他の後遺障害にもまして重要になります。

医師や審査機関に、被害者様の高次脳機能障害の症状、すなわち日常生活での支障を説明するためにポイントとなる書類が「日常生活状況報告」です。

医学的な専門的知識がなくても、被害者様のことを誰よりも知っているご家族など周囲の方々が、被害者様が事故前後でどのように変わってしまったのかを記載します。

ここでは、高次脳機能障害の特殊な認定システムを踏まえて、日常生活状況報告や後遺障害診断書などの必要書類を作成・依頼する上でのポイントを説明します。

1.高次脳機能障害の後遺障害等級認定システム

後遺障害等級認定手続は、「損害保険料率算出機構」という第三者機関がすべて行っています。

普通は各地の機構傘下の自賠責損害調査事務所が審査していますが、高次脳機能障害では、機構本部の自賠責保険(共済)審査会で高次脳機能障害を専門とする医師などが参加する「高次脳機能障害専門部会」がより詳しく審査を行うこととなっています。

このため、一定の条件を満たさなければ、「高次脳機能障害として」講師要害等級認定を受けることができないという特殊な認定システムとなっています。

高次脳機能障害の等級は一般的に1級、2級、3級、5級、7級、9級です。
しかし、審査対象外となれば、後遺障害と認定されても、12級や14級などより低い等級にしか認定されないでしょう。

(1) 審査を受けるための基準

高次脳機能障害として後遺障害等級認定の審査を受けるためには、以下のいずれかの条件をクリアしなければいけません。

①後遺障害診断書に高次脳機能障害などの診断名があること
②初診で頭部外傷の診断をされている、経過診断書で高次脳機能障害を疑わせる症状や事故直後の意識障害、画像検査の異常があり、そのうえで、実際に症状があると確認されること。

特に②の条件では、医療記録における医師の判断や検査結果で高次脳機能障害を疑わせる事情があったとしても、ご本人やご家族に審査機関から症状について確認がされます。

高次脳機能障害の症状である、認知機能・行動遂行力などの低下・性格の変化などがあることを、審査機関に説得力を持って伝える必要があります。

(2) 認定のポイント

後遺障害等級認定を受けるためには、①後遺症の存在、②交通事故との因果関係、③症状の有無・程度などを必要書類だけで証明する必要があります。

個別のケースにより証明の流れは異なるので、どのような証拠があればOKと具体的に断言することはできません。とはいえ、目安となるポイントはあります。

高次脳機能障害の場合、事故直後の頭部外傷や意識障害・画像検査・知能テスト・各種報告書から分かる症状により、事故で脳が損傷し、高次脳機能の低下によって日常生活に支障が生じていると言えるかが問題となります。

2.日常生活状況報告を作成するポイント

高次脳機能障害の症状は、日常生活における支障です。
知能テストなどで分かる高次脳機能の低下そのものよりも、それにより事故前にできていた家事や仕事、日常生活のこまごまとしたこと、人間関係、趣味などがうまくできなくなることが「症状」と考えたほうが良いのです。

被害者様の日常生活の様子を知っているのは、医師ではなく、被害者様に近いご家族や同僚、被害者様が子どもなら担任の教師です。

そのため、高次脳機能窓外の症状を証明するには、説得力ある具体的な日常生活状況報告の作成が大切です。

では、どのような点に気を付けて日常生活状況報告を作成すればよいのでしょうか。そのポイントを説明しましょう。

(1) 別紙に具体的な記載をする

日常生活状況報告は所定の書式が存在します。しかし、その記入方法は基本的に項目選択式です。自由に記入できる欄は小さいため、詳細な記載ができません。

とはいえ、その書式に通常の文章の形で作成した報告書を別紙として添付することは許されています。

所定の書式の項目でどのようなことがポイントとなるのかを確認しながら、別紙に具体的な記載をしましょう。

(2) 事故前と事故後の比較

高次脳機能、すなわち、判断力や記憶力、行動力や衝動の抑制と言った能力は、元々個人差があります。いま、被害者様の高次脳機能がこれだけ低いと言っても意味は大きくありません。

ある能力について、事故前に十分な能力があって生活で支障がなかったのに、事故後に能力が低下した結果、生活に支障が起きた…たとえば、「電話をしながらメモを取れなくなった」「買い物を頼んでも違うものを買ってきてしまう」「いちいち言わなければ片付け物をしなくなった」など、一見些細なことが大切です。

次に説明する知能検査の結果なども考慮しながら、できる限り詳細に作成しましょう。

(3) 知能検査との対応

高次脳機能障害では、複数の能力が、程度がバラバラに低下することがほとんどです。

知能検査と日常生活の支障が対応していればいるほど、知能検査結果と日常生活状況報告が二つで相まって証拠としての価値が増すのです。

【同僚や担任など家庭以外の様子を知っている人にも被害者様の様子を報告する書類を作ってもらう】
日常生活状況報告は一つしか提出できないわけではありません。
仕事も重要な日常生活の場ですが、ご家族には職場での被害者様の様子が分かりませんから、同僚や上司にもう一つ日常生活状況報告を作ってもらいましょう。

3.医師に診断書などを依頼する際のポイント

日常生活状況報告を事前に作成し、医師に診断書などの必要書類の作成を依頼する際に日常生活状況報告を読んでもらいながら被害者様の症状を説明してください。

後遺障害等級認定手続では、後遺障害診断書をはじめとした医師が作成する書類が最も重視されます。

  • 後遺障害診断書
  • 経過診断書
  • 「頭部外傷後意識障害についての所見」
  • 「神経系統の障害に関する医学的意見」

しかし、医師は、日常生活の支障を直接知ることができません。
事故前の被害者様のことを知らず、短い診察時間では被害者様の状況を理解しきれず、そして何より、被害者様と日常を共にしているわけでもないからです。

上記のうち、後遺障害診断書や、神経系統の障害に関する医学的意見は、治療完了後に作成される被害者様の症状に関連する必要書類です。

後遺障害診断書には、医師が被害者様本人から聞き取った自覚症状を記載する欄がありますが、被害者様ご本人に自覚がないのが高次脳機能障害の大きな問題点ですから、日常生活状況報告に基づいた説明をして情報不足を解消する必要があります。

「神経系統の障害に関する医学的意見」は、医師が高次脳機能障害の症状を具体的に評価するものです。
医師が作成する日常生活状況報告のようなものですから、それこそご家族による説明が不可欠となります。

医師の判断が重要視される後遺障害等級認定で、医師が間違った判断をしやすい…これが高次脳機能障害の怖いところです。

日常生活状況報告を使って丁寧に医師に説明することで、医師が被害者様の実情を適切に反映した診断書などを作成できるようにしてください。

[参考記事]

後遺障害の認定を受けるため「経過診断書」で注意すること

4.必要書類の疑問も弁護士へご相談ください

高次脳機能障害の特殊な認定システムを乗り越えるには、できる限り適切な必要書類をそろえる必要があります。

医師が障害の内容を把握することも難しく、被害者様ご本人が症状を自覚できないこともありますから、被害者様のご家族など周囲の皆様が作成する日常生活状況報告などの書類は認定に大きな影響を与えます。

しかし、認定基準や等級の基準は不明確で、被害者様の場合にどのようなことに注意して日常生活状況報告を作成し、医師に説明すればよいのか、そもそも、画像検査結果や意識障害の状況からして事故が原因と証明できるのかは、専門的な知識と経験がなければ見通しをつけることも困難です。

そのような時は、是非、弁護士にご相談ください。
泉総合法律事務所は、これまで多数の交通事故の被害者の方をお手伝いしてまいりました。関東に張り巡らした支店ネットワークと、経験豊富な弁護士が、被害者の皆様をサポートいたします。

高次脳機能障害に苦しむ皆様のご来訪をお待ちしております。

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