債務整理

債務整理をすると保証人にどんな影響がある?

債務整理をすると保証人にどんな影響がある?

「債務整理をしたいけれど、保証人に迷惑をかけることになるのでできない」と悩まれている方もいらっしゃるでしょう。

保証人が必要な場合、両親や親族、友人など、大切な方にお願いしていることが多いと思いますので、できるだけ迷惑をかけずに債務整理をしたいというお気持ちは分かります。

では、債務整理をすると、保証人に具体的にどのような影響があるのでしょうか

1.保証人とは

お金を借りたり、高額な商品を購入したりする際に、貸主や売主から「保証人をつけてください」と言われることがあります。

保証人」とは、他人の債務を保証する人、つまり、債務者が債務を履行しない場合に債務者に代わって履行する義務を負う人です。
「保証人」とよく似たものに「連帯保証人」があり、ご自身の債務に連帯保証人がついているという場合も少なくないでしょう。

「保証人も連帯保証人も他の人の債務を保証するんでしょ?同じじゃないの?」と思われる人もいらっしゃるかもしれませんが、両者には明確な違いがあります。

保証人と連帯保証人の大きな違いは、保証人には①催告の抗弁、②検索の抗弁、③分別の利益が認められるのに対し、連帯保証人にはこれらが認められない点にあります。具体的にみていきましょう。

(1) 催告の抗弁(民法452条本文)

催告の抗弁」とは、保証人が債権者から保証債務を履行するよう請求を受けた場合に、主債務者に先に請求するよう言うことができる権利です。

連帯保証人には催告の抗弁が認められていないため、債権者は、主債務者に請求することなく、連帯保証人にいきなり請求することができます。

(2) 検索の抗弁(民法453条)

検索の抗弁」とは、主債務者が弁済できる資力があるにもかかわらず債権者への弁済を拒んだために、保証人が債権者から保証債務を履行するよう請求を受けた場合に、保証人が、「主債務者に弁済する資力があり、かつ、執行が容易であること」を証明することにより、債権者が主債務者の財産に強制執行をするまで保証債務の履行を拒むことができる権利です。

連帯保証人には検索の抗弁が認められていないため、主債務者に資力があっても、債権者に請求されたら連帯保証債務の履行を拒絶することができません。

(3) 分別の利益(民法456条)

同一の債務につき保証人が複数いる場合、各保証人が負う保証債務の額は、保証人の数に応じて分割された額になります。

たとえば、200万円の債務につき保証人が2人いた場合には、各保証人は100万円ずつ責任を負うことになります。これを「分別の利益」と言います。

連帯保証人には分別の利益が認められないため、連帯保証人が複数いる場合でも、各連帯保証人は全額につき弁済する責任を負うことになります。

以上のように、連帯保証人は単なる保証人よりも重い責任が課せられています。

もし、誰かに「連帯保証人になってほしい」と頼まれたら、安易に考えずに自分にかかってくる責任の重さをしっかり検討して、連帯保証人を引き受けてよいかどうか判断しましょう。もちろん、保証人の場合も同じことが言えます。

では、主債務者が債務整理をした場合、保証人や連帯保証人にどのような影響があるのでしょうか。

債務整理の方法としては、自己破産、個人再生、任意整理がありますから、それぞれにつき以下でみていきましょう。

2.自己破産をした場合の保証人への影響

(1) 保証人への影響

まず上でご説明したように、保証人には「主債務者に先に請求して」と言うことができる「催告の抗弁」が認められています。

ところが、主債務者が自己破産を申し立てて破産手続開始決定を受けると、保証人は債権者に対して催告の抗弁を主張できなくなってしまいます。

主債務者の破産手続が始まった以上、主債務者から返済を受けることは最早困難だからであり、民法452条ただし書で定められています。

そして、主債務者が自己破産をして免責を得ると、主債務者は債務の支払義務がなくなります。

そうだとすると、主債務が弁済などによって消滅すれば、保証人の保証債務も消滅するのが原則ですから、主債務者が免責を得れば、保証債務の支払義務もなくなるようにも思えます。

ですが、破産法253条2項で、主債務者の免責許可決定の効果は、保証人には及ばないとされています。ですから保証人は、主債務者の支払い義務がなくなっても保証債務の履行を免れることはできません。

そのため、保証人も履行が難しい場合には、保証人自身も自己破産などの債務整理をせざるをえなくなります。

実際、主債務者が自己破産したために、保証人になっていた人が連鎖的に自己破産することになってしまったというケースは少なくありません。

また、保証人が保証債務を履行した場合には、通常、主債務者に対する「求償権」を取得します。求償権とは、簡単に言いますと、債権者に支払った分の金額を主債務者から返してもらうことができる権利です。
「代わりに支払ってあげたんだから、その分返して」ということです。

ですが、主債務者が自己破産をして免責を得た場合には、この求償権についても免責の対象となります。
したがって、保証人が債権者に支払いをしていても、主債務者に求償することができなくなってしまいます。

(2) 連帯保証人への影響

連帯保証人への影響も、保証人の場合と基本的に変わりません。

検索の抗弁はもともとありませんが、主債務者が免責を得ても連帯保証人には免責の効果は及ばないため、連帯保証人は履行を免れることができず、債権者に支払をしても主債務者に求償できないことは、保証人の場合と同じです。

3.個人再生をした場合の保証人への影響

(1) 保証人への影響

主債務者が個人再生を申し立て、再生計画が認可されれば、主債務者は、減額された債務を再生計画どおりに支払っていくことになります。

では、再生債権に保証人がついていた場合、保証人の債務はどうなるのでしょうか。

この点、主債務者の再生計画の効果は保証人には影響を及ぼしません(民事再生法177条2項)。ですから、債権者は、保証人に対し債務の全額について請求することができます。

主債務者の再生計画の内容にかかわらず、保証人の債務は減額されなということです。

主債務者が個人再生をすれば、債権者は保証人に対し債務の全額について一括請求をすることが可能です。

その場合、保証人に一括で支払える資力があれば問題ないのですが、債務額が大きいと一括返済が難しいことも少なくないでしょう。

そこで、実際には、保証人が債権者と交渉することによって、主債務者が支払っていたのと同じ条件で分割返済を認めてもらえるケースが多いようです。

ところで、保証人が債権者との間で分割返済の合意をした場合、主債務者も再生計画どおりに返済しますので、保証人と主債務者の返済が並行して行われることになります(主債務者の再生計画による支払いが終わるまで保証人は支払わなくてよい、ということにはなりません)。

そうすると、債権者は両者から返済を受けられるので、「返しすぎになって、債権者が得して保証人が損するんじゃない?」と思われるかもしれません。

ですが、その心配はありません。主債務者と保証人は並行して返済していきますが、返済額の合計がもともとの債務額に達した時点で、主債務者の再生債務保証人の保証債務の両方が消滅するからです。

具体的にご説明すると、以下のようになります。

たとえば、もともとの債務が500万円あり、主債務者が個人再生をして5分の1の100万円が再生債務になったとします。

この場合、主債務者は100万円を、保証人は500万円を並行して分割返済していくことになるのですが、両者の返済額の合計が500万円になった時点で、主債務者も保証人もそれ以上の支払義務はなくなることになります。

このように主債務者と保証人による返済が並行して行われると、主債務者は、再生計画で予定していた期間よりも早く返済を終えることになりますし、返済金額も予定より少なくなる可能性があります(再生計画は保証人による返済を考慮しないで作成されているからです。)。

たとえば、上の事例で、主債務者が70万円、保証人が430万円を主債務者に返済し、合計500万円になった場合です。

そのような場合、保証人は、後日、主債務者に対し、再生債務100万円と70万円との差額である30万について求償権を行使することができます。本来であれば、主債務者は債権者に対し100万円を支払う必要があったのですから、差額分を保証人に支払うことになっても損をするわけではありません。

ですから、最終的には、500万円の債務のうち、主債務者は再生債務である100万円を、保証人はその差額である400万円を負担することになります。

なお、上の事例で、保証人の主債務者に対する400万円全額の求償は認められません

主債務者の債務は再生計画で100万円に減額されているところ、保証人からの求償を認めて100万円を超えて支払わなければならないとすると、個人再生をした意味がなくなってしまうからです。

(2) 連帯保証人への影響

連帯保証人への影響も、保証人の場合と変わりません。

4.任意整理をした場合の保証人への影響

(1) 保証人への影響

自己破産や個人再生は、裁判所を通じて行う手続であり、全ての債権者を手続に含める必要がありますが、任意整理の場合は、私的な債務整理の方法ですので任意整理の対象とする業者を選ぶことができます。

そのため、保証人がついている債務を任意整理の対象から外し、その他の債務のみ任意整理をするということが可能です。そうすれば、保証人に対しては特に影響はありません。

(2) 連帯保証人への影響

連帯保証人がついている場合も同様です。連帯保証人がついている債務を任意整理の対象としなければ、他の債務を任意整理しても、連帯保証人に影響はありません。

5.債務整理による保証人への影響は弁護士に相談を

以上ご説明しましたとおり、保証人や連帯保証人に一番影響が少ない債務整理の方法は、任意整理ということが言えます。

保証人や連帯保証人に迷惑をかけたくないのであれば、任意整理を選択するのがおすすめです。ですが、債務状況や経済状況からして、任意整理は難しいというケースもあります。

そのような場合は、自己破産や個人再生を検討せざるをえないでしょう。

何がご自身の状況に合った最適な債務整理の方法なのかというのは、一般の方がご自身で判断するのはなかなか容易ではありません。借金問題でお悩みがありましたら、お一人で抱え込まずに、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

泉総合法律事務所では、債務整理のご相談は無料でお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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