自己破産は家族・会社・身内にバレる?
多額の借金が返せなくなり、自己破産を考え始めた多くの方が恐れていることが「自己破産が家族や会社、身近な人に知られてしまうこと」です。
結論から言えば、特別な事情がなければ、見知らぬ人はもちろん、身近な人にも自己破産がバレることはほとんどありません。
問題は、どんな事情があるときにどのような人に自己破産がバレてしまうのか、そしてその時にどんな対処をすれば良いのかです。
このコラムでは、自己破産したことを身近な人に知られてしまうケースと、その対応策などについて説明します。
このコラムの目次
1.自己破産がバレるケース
まず、どのようなケースで自己破産が周囲にバレるおそれがあるのでしょうか。
(1) 信用情報機関への登録(ブラックリスト)
自己破産をすると、信用情報機関に金融事故の情報が登録されてしまいます(自己破産以外の債務整理方法を選択した場合でも掲載されます)。
しばしば耳にする「ブラックリスト入り」というものはこれの俗称です。
ブラックリストは、あくまでも信用情報期間に登録をしている貸金業者や銀行、クレジットカード会社が、経済的な信用能力を確認するためのもので、一般の方が直接確認できるものではありません。
しかし、以下のような派生的な問題で自己破産がバレてしまう可能性はあります。
- クレジットカードを使えなくなる
- 新規のクレジットカードを作成できない
- 家や車などの各種ローンを組めない
- 他人の借金の保証人になれない
- 現在保証人になっている場合、別の保証人をたてる必要が生じる
金融機関やカード会社は、ローンの申し込みや新規のカード作成の申し込みがあった際、信用情報機関に申込者の情報を照会します。
そこで、申込者が過去に自己破産などの債務整理をしていると「この人は以前お金を返せなかったから、経済的な信用がない」と判断し、審査に落としてしまうのです。
結果、クレジットカードを持てない・ローンを組めない・子供の学資ローンや奨学金の保証人になれないなどの問題が生じ、不審に思われた結果、自己破産をした過去がバレてしまうかもしれません。
[参考記事]
債務整理をするとクレジットカードが使えなくなると不安な皆様へ
(2) 官報への掲載
官報とは、政府が発行する機関誌・広報誌です。
自己破産をすると、官報に破産者の住所や氏名が掲載されます。
しかし、一般の方は官報などまず読みません。
直近30日間の官報ならインターネット上で無料閲覧できますが、名前の検索もできません。
有料会員になれば過去の官報の情報を検索できるようになりますが、わざわざ有料版に登録をしてまで調べようとする一般の方はいないでしょう。
紙面の官報についても、置いてある場所は限られていますし、ほとんど毎日発行されている情報の中から特定の人物の名前を探し当てるのは不可能に近いです。
しかし、ブラックリスト同様、全く問題がないわけではありません。
金融機関や保険、警備関連の企業は、官報の内容を確認していることがあるのです。
自己破産手続中は、他人の財産を管理する資格や職業など、一部の仕事について制限がかかります。
そのため、従業員が自己破産して資格を制限されていないかチェックする企業があるのです。
よって、このような職業の方が自己破産を黙っていると、いつかはバレて解雇されてしまうかもしれません。
自分は資格制限がかかる職業に当たるのか、自己破産手続をすることを職場に伝えるべきなのか、お悩みの方は一度弁護士に相談することをお勧めします。
(3) 親族や友人、職場から借金をしている場合
親族や友人、勤務先からであっても、借金をしていれば自己破産手続の対象となります。
この場合、裁判所から通知が届き、自己破産をしたことがバレてしまうことは避けられません。
自己破産手続では、債権者を不公平に取り扱ってはならないという「債権者平等の原則」があります。
身近な人であろうと借金をしていれば債権者です。債権者平等の原則がある以上、特定の債権者を手続から除外することはできません。
借金をしている家族や友人には真摯に謝罪して、人間関係へのダメージを最小限に抑えましょう。
なお、勤務先の会社から直接借金をしていなくても、労金や共済組合から借金をしていて給料から天引きをされていれば、その天引きが止まったことから勤務先の担当者に自己破産がバレるおそれがあります。
お金を借りたりローンを組んだりする際には、保証人(連帯保証人)を立てることがほとんどだと思います。
その保証人のいる借金を自己破産すると、保証人へ借金の一括請求がされてしまいます。
こうなると、保証人に自己破産したことがバレることはもちろん、保証人も経済的に破綻しかねません。保証人まで自己破産が必要になることもあるでしょう。
一切の事前連絡もなく突然一括請求されては、保証人も適切な対応を取ることができません。保証人がついている借金がある場合には、必ず事前に連絡・相談しましょう。
(4) マイホームなどの財産がある場合
自己破産をすると、マイホームは処分されてしまいます。
そうなると、当然ですが転居を余儀なくされます。
家族はもちろん、その理由を身近な人から問われれば、自己破産したことを隠し通すことは難しいかもしれません。
現在賃貸住まいで家賃の滞納もない場合は心配ないですが、マイホームをお持ちの方の自己破産は慎重に行う必要があります。
また、マイホーム以外にも、99万円以上の現金や、20万円以上の預貯金、ローン支払い中の車なども処分の対象となります。
生活必需品は手元に残すことができますが、目ぼしい財産を所持している場合は、家族に自己破産を隠し通すことは難しいでしょう。
2.自己破産がバレないようにする手段
身近な人や会社からの借金など、どうしても自己破産が周囲にバレてしまうケースはありますが、一方で自己破産がバレるリスクを最小限にする方法は存在します。
それは、自己破産を弁護士に相談することです。
自己破産は裁判所を通す厳格な手続きであり、多くの書類が必要です。
また、書類に不備があったり、裁判所に免責(借金を0にすること)が不適切であると思われたりすれば、手続きに失敗してしまう可能性もあります。
しかし、弁護士に自己破産のサポートを依頼することで、弁護士は一部の書類の収集・作成を行ってくれる他、債務者の代理人として裁判所に赴き、裁判官への適切な説明も行ってくれます。
この結果、自己破産手続きに失敗するリスクは少なくなり、また、手続きが早く終了することにより、周囲に自己破産を勘付かれてしまう可能性が下がるでしょう。
また、周囲の方に対する将来の影響や見通しなどを説明してもらい、対策を実行することで、人間関係へのダメージを最小限に抑えることもできます。
3.誰にもバレずに自己破産したい方も弁護士へ相談を
自己破産に対する世間の風当たりはどうしても強いものがあります。
そのため、友人や親族、職場や近所の方に自己破産をした事実を知られたくないという方がほとんどでしょう。
これまで説明したとおり、自己破産をしたからといって、必ずしも他人に知られるというわけではありません。
とはいえ、その可能性が0というわけでもないのです。
不安だという場合には、まずは弁護士にご相談ください。
泉総合法律事務所では、自己破産により借金問題を解決した実績が多数ございます。お気軽に無料相談をご利用いただければと思います。
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